大峰山ようお参り 聖天の森
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大峰山護持院櫻本坊では聖天堂があります。聖天(ガネーシャ神)は、大聖歓喜自在天(だいしょうかんぎじざいてん)、或いは大聖歓喜双身天王(だいしょうかんぎそうじんてんのう)と称され、秘仏の聖天の本地神の十一面観世音菩薩と共にお祀りされ、毎年10月1日に吉野聖天大祭大護摩供が行われます。この聖天様は、いまから1300有余年前に、役行者が聖天の森にお祀りされていたといわれ日本最古の聖天様と伝わっています。
吉野”から熊野に至る、大峯奥駈道のほぼ中間点に、「釈迦ヶ岳」(1799.6m)が聳えている。その南にある「大日岳」(1593m)との間の鞍部(1500m)に当る場所が【深仙】(「神仙」とも)。「「釈迦」・「大日」から、何れも30~40分の距離にある。此処は、旧くから“大峯の中台”といわれ、特に聖護院系統の本山派修験では、『正灌頂』場として重要な位置を占めている。今は、「大峯中台八葉深仙大灌頂堂」と避難山小屋があるだけである。しかし、本山派(天台系)修験にとって、現在も此処がその最重要拠点であることに変わりはない。明治期に至るまでは、此処には、この灌頂堂の他にも「護摩堂」や「宿坊」など、数棟の建屋があった。今あるお堂の中には、役行者不動明王聖宝理源大師円珍等の諸像が祀られているが、これらは以前は「釈迦ヶ岳」山頂にあったという本堂や、神仙の諸堂に鎮座していた諸尊なのではと思われる。

この大峯の中台「深仙」は、大峯奥駈道・75靡の“第38靡”であるが、その直ぐ南に“第37靡”の【聖天の森】がある。“森”とあるから、木々に覆いつく林が連想されるが、そんな風景は此処には無い。「深仙」から「大日岳」に向う奥駈道は、東方は、原生林に覆われた前鬼川や、上流の北股川・深仙股谷等を眼下に望み、更にその向うには池原貯水池を越えて、「大台ケ原」から「熊野灘」に落ち込む壮大な山塊を遠望出来る。「尾鷲湾」まで直線距離30km。西方は、十津川の支流、滝川の更に上流の「赤井谷」を挟んで、「釈迦ヶ岳」から西南方に流れ下る支尾根が指呼の間。これらの景色を遮る程の林、或いは森は無い。だが、「聖天の“森”」というからには、昔は、“森”様の木々が繁っていた事も考えられる。

「聖天の森」は、何処であったかは特定出来ていない。「大峯縁起」や「細見記」等には「神仙の南、僅かばかりの所に…」と書かれており、いずれにしても「聖天の森」は“深仙”から南に数分も登った所にあったのであろうと思われ、それらしき大岩がある。昔からの言い伝えによると、この“聖天の森”に、役行者が『聖天』(歓喜天=印度のガネーシャ神)を勧請してお祭りしたとされている。しかし、この大峯の中台近く、山深い奥山では一般の老若男女がこの尊い「聖天」を拝むことが叶わないとして、その後、この“お像”を吉野山の【櫻本坊】に遷座、お祀りされたのが、現在「櫻本坊」にある“吉野聖天”である。毎年10月1日吉野聖天大祭が厳修されています。